ママーコンプレックス
ハインツやキャンベルじゃ嫌なんだよう!
「100発100中 黄金の眼」
「100発100中」の続編で1968年の作品。
「100発100中」は昔、名画座で観たと書いたが、これはまだ観ていなかったので、期待して鑑賞。
ベイルートに滞在中のアンドリュー星野に一人の少女が近づいてくる。
殺された父親の仇をとってくれる殺し屋を探している、という少女から1ドル銀貨を受け取ったアンドリューは、成り行きで少女の願いを叶えてやることにする。
ところが、その1ドル銀貨こそ少女の父親が殺された原因であり、世界に1枚しかないというサマンタ金貨を偽装したものだった。
やがて、この金貨をめぐって、金密輸シンジケートのボス、その配下の女殺し屋、シンジケートを裏切った男などがアンドリューの周りに群がり始め、金貨の争奪戦が巻き起こる。
という作品なのだが。
まず、ベイルートの描写が、何とも苦笑もの。
基本的に低予算のプログラムピクチャーなのだろうから、ベイルートロケが出来ないのは当然のこととしても、日本人が顔を黒く塗ってアラブ人を演じるのは、どうもなぁ。
しかも、それが、岡本喜八作品などで顔をよく見ている役者だけに、困ってしまう。
それと、白人からアラブ人まで、みんな日本語ってのは、違和感があるなぁ。
「100発100中」では、日本語の他に、中国語、フランス語、英語などが飛び交っていて、それが無国籍な感じを醸し出していて、実に良かったのだが。
前作同様、アンドリュー星野は宝田明だが、手塚刑事が佐藤允に替わっている。
これが惜しい。
佐藤允は、私にとっては岡本喜八監督作品でおなじみで、そちらでは好きな役者なのだが、この手塚刑事役では、前作の有島一郎との差が大きくて、ちょっと乗り切れない。
佐藤允も軽い演技のできる人ではあるが、有島一郎とは、軽さの方向性が違う。
しかも、あまり軽く演じていない。
変に重い。
組織を裏切って金貨を狙う黒川を演じているのは土屋嘉男で、これも重いなぁ。
映画のテンポもあまり良くない。
80分という短い作品なのに、冗長に思えて仕方がない。
しかも、シンジケートのボスが盲目というのは、ちょっと後味が悪いかな。
それを殺すわけだから。
ちなみに、このボスは目は見えないが、超指向性マイクを照準器代わりにしたライフルの名手という設定。
ボスとは別に、そういう殺し屋を出せばよかったのに。
登場する女性は2人。
一人は投げナイフの名手で、実は保険会社の調査員(サマンタ金貨に保険がかかってるんですな)のルビー。
演じているのは前田美波里。
顔が濃い。
でも、若くて肉付きが良い分、現在の前田美波里ほどは暑苦しくはない。
もう一人は、事件に巻き込まれたことをいいことに、それをきっかけにして有名になろうとする歌手志望で、ラリードライバーでもあるフーテン娘。
演じているのは沢知美。
前田美波里は脚線美こそ見せているものの、あまりお色気シーンはない。
お色気担当はむしろこちら。
それもそのはず、「11PM」のカバーガールやってたんですね、この方。
世代が違うので、知りませんでした。
ちなみに、この映画の中で、役名の歌手・斎藤ミツコとして歌っている「モッカラ・ゴー・ゴー」という曲が、You Tubeで見られるみたいです。
悪くない曲なので、興味のある方は探してみて下さい。
ただ、映画そのもののタイトル曲は、いまひとつノレない。
表現が合っているかどうか音楽のことがよく分かってないので自信がないが、スウィング調のジャズ(?)といった感じの曲で、スピード感が無いうえに、何となく重たい。
総じて、前作にあった軽さとコミカルさが欠けていて、スピード感も無い。
興行的に当たらず、シリーズがここまでで終ってしまったのも、仕方がないかな、という出来である。
ちなみに、昨日は伏せたが、主人公はインターポールのアンドリュー星野と名乗っているが、実は偽者で、本名は不明。
前作の冒頭に登場する、黒部進演じる口ヒゲの男が、本物のアンドリュー星野で、彼はその名前を騙っているだけなのである。
で、その正体は≪ママ≫という名称の組織に属する殺し屋である、とこちらの作品では説明される。
つまり、主人公はマザコンなんじゃなくて、言葉通り、ママの命令で活動していたわけなんですね。
それって、ちょっと興ざめだなあ。
マザコンキャラ、良い味出してたのに。
そういう意味でも、観なくてもいい続編でした。
うーん、残念。


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