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November 13, 2006

助手!「歯」と「ネット」!

さっさと持って来い。

久しぶりに定休日に休めたので、映画を観に行く。

「ブラック・ダリア」

この映画のテレビCMで≪世界で一番有名な死体≫というキャッチフレーズが出てくる。
世間的には「世界で一番」というのは大袈裟かもしれないが、猟奇殺人マニアには有名ではあるだろう。

これは実際に起こった事件だ。

私がこの事件を最初に知ったのが、何によるものだか忘れたが、この事件について1章をあてているケネス・アンガーの『ハリウッド・バビロンⅡ』によると、このような事件である。

1947年1月15日、朝7時半。
ロサンゼルスの空き地の草むらにある何かを見つけた登校途中の少女が、一緒にいる母親にそれを告げた。
その何かは、一見、壊れたマネキン人形のようだったが、実際には女性の全裸死体であった。
その身体は、腰の所で真っ二つにされ、口は耳元まで切り裂かれていた。
全身には拷問の後があり、頭部は判別できないほどに潰されていた。
太腿のバラの刺青は抉り取られ、身体の奥に押し込まれていた。
犯人は死体を血抜きし、洗浄した上、髪を赤く染めていた。
被害者はエリザベス・ショート、22歳。
マサチューセッツ州から憧れのハリウッドにやってきたものの、スターではなく売春婦になった。
黒髪をポンパドゥールに結い、黒いセーターと黒いスラックスを身にまとっていた彼女のあだ名は≪ブラック・ダリア≫といった。
ロサンゼルス警察は250人もの警官を投入して聞き込みを行うも、ついに事件は未解決となった。

映画は、当然この事件の謎を追うものである。

はずだが、実際には、少し違う。
≪ブラック・ダリア≫事件は、実は物語の背景に過ぎない。
物語の中心は、ボクサーあがりの二人の刑事リーとバッキー、そしてリーの≪恋人≫のケイの三角関係と、バッキーと関係をもつ上流階級の娘マデリンの4人の愛憎劇である。

そうとわかってりゃ、観なかったのだが、タイトルだけでこの映画を選んだ私がバカだった。

監督はブライアン・デ・パルマ。
それも映画館に入るまで気がつかなかった。

そうとわかってりゃ(以下同文)

デ・パルマ監督の作品は「ボディ・ダブル」「アンタッチャブル」「ミッション・インポッシブル」「ミッション・トゥ・マーズ」の4本を過去に観ているが、「ボディ・ダブル」以来久しぶりに≪ヒッチコック・コンプレックス≫の出た作品であった。

よく知られているように、デ・パルマはアルフレッド・ヒッチコックのマニアであり、「ボディ・ダブル」はヒッチコックの「めまい」を下敷きにした作品だった。
この映画も、ジェームス・エルロイの原作があるとは言え、とっても「めまい」である。
映画の舞台自体、1940年代後半に置いているので、1980年代が舞台の「ボディ・ダブル」より、それらしい。
ブロンドのケイとブルネットのマデリンという対比が特に象徴的。
「めまい」の中では、キム・ノヴァクは一人二役でブロンドとブルネットの2人の女性を演じているのである。
大体、マデリンというのは「めまい」でキム・ノヴァクが演じた役のうちの1人と同じ名だ。

「めまい」では、主人公の元刑事であるジェームス・スチュアートは男から妻の身辺調査を依頼されるが、その人妻=キム・ノヴァクに心惹かれる。
そして、その人妻の≪自殺≫の目撃者にされてしまう。

この映画では、ジョシュ・ハートネット演じる主人公バッキーは相棒リーの恋人であるはずのケイに心惹かれる。
その一方で、リーによってある事件の目撃者にされてしまう。

というようなことをやり始めたら、色々出て来るだろう。
私は「めまい」は22年前に観たっきりなので、この程度しか出て来ないが。

しかし、まあ、私にとっては事前の予測と違う内容だったので不満があるのだが、デ・パルマ監督のファンの方には満足できるものではないでしょうか。

ジョシュ・ハートネットは初めて観たが、「品行方正なブラッド・ピット」といった感じ。
おかげであまり新鮮味を感じなかった。

マデリンを演じたヒラリー・スワンクも、「ブルネットのジェーン・フォンダ」といった感じで、何となく既視感が。
しかし、パンフレットのフィルモグラフィによると「ミリオンダラーベイビー」に出ていたそうだが、予告編などでチラッと見た印象とは随分違う。

ケイを演じたスカーレット・ヨハンソンも、どこかで観たような気がして仕方がないのだが、フィルモグラフィを見ると、観た作品がない。

しかし、3人とも初めて見るのになぁ、何でこんなに初めてらしい感じがしないのだろう。

その辺もなんだか変な感じだった。

単に年くっただけかな、私が。

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